「認知症」と聞くと、徘徊や独りで生活できないなどと思う人もいると思うが、認知症になったからと言ってすぐに自立が困難になるわけではない。始めは軽度の物忘れから始まり、徐々に重症化していくのだ。症状の進み具合はそれぞれで違っていて、薬や環境によっては症状が進まずにいることもある。症状の進み具合を緩やかにするには、薬を必ず服用すること、環境を大きく変えないこと、心穏やかに生活できることなどが挙げられる。しかし、核家族の多い日本では、家族が認知症の高齢者を介護し続けることは難しい。そこで誕生したのがグループホームである。
グループホームは家庭に近い形で介護してもらえる少人数の施設である。グループホームに入居できるのは、「要支援2」「要介護1」以上の自立できる高齢者が対象なので、炊事、洗濯、掃除はそれぞれが協力して行う。介護士は日中であれば高齢者3人に対して1人以上の割合で常駐し、生活支援をしてもらえる。夜勤は1人以上の介護士が支援する。そのため、軽度の認知症の高齢者であれば、普通に生活しながらも介護支援が受けられるグループホームで生活することで、症状の進行を抑える効果が期待できるのだ。したがって、最近ではこういったグループホームが増えてきている。
このような背景とともに、介護士の需要が増えてきているにも関わらず、必要な介護士の人数は全く足りていない。介護士のなり手を増やすためには、仕事に対するマイナス面に勝るプラス面のアピールを行うことが最も重要と言えるだろう。